千葉県オンブズ第14号

2004年10月12日

千葉県知事 堂本 暁子 様

 

千葉県市民オンブズマン連絡会議    

   代表幹事  広瀬 理夫  

                                     〒260-0013    千葉市中央区中央3-15-6   

やまちょうビル6階 渚法律事務所内

 

千葉県情報公開条例改正についての申入書

 

 千葉県政の発展及び千葉県民の福祉向上のために陣頭にたたれてのご活躍に対し心から敬意を表します。

  さて、貴職は県民の県政への参加や県政の透明性を担保する千葉県情報公開条例の改正のための諮問を千葉県情報公開審査会に行いました。その答申に基づいて、当該部門は関係条例の改正等の骨子案を発表し、パブリックコメントを求めています。

わたしたちは条例改正や制度運用等の改善について、貴職をはじめ関係各方面に申入書を提出するなど活動してきましたので、骨子案だけでなく答申及びその他制度全般について下記のとおり意見を表明します。

この意見が受け入れられて、貴職が標榜している徹底した情報公開制度が確立するために条例が改正されることを強く要望します。

  回答は、文書で11月15日までにお願いします。

 

 

第1章 「骨子案」について

 1.条例の改正等に至る経緯について訂正の申し入れ

 「大量請求や大量異議申立などにより、円滑な制度運営が阻害されている」との記述は、事実とは異なり、行政側にも責任があることを全く述べられていない。この事実については、情報推進委員会―でも・・・のように結論されているところである。

実態を正しく記述していないこの説明ではパブリックコメントが誤誘されるおそれがある。本日がパブリックコメントの締め切り日だが、この文章はこれからもインターネット上で公開され続けるのであるから、改正の必要性を正しく記すべきである。誤りは直ちに訂正されたい。

   

ところで、わたしたちは2003年5月2日付けで千葉県情報公開推進委員会委員長宛に、「千葉県の情報公開制度の方向性について申し入れ」を提出したが、改めて再度主張する。

   

1・基本的な考え方

    ① 従前の経緯、手順にとらわれることなく、高速化する自治体事務

     に対応した制度、運用、職員の意識改革が必要である。

    ② 県民、市民のニーズに応える制度運用であるべきこと。

     とくに、大部分の情報公開請求および異議申立の対象である教育

     委員会に強く求める。

    ③ 滞留した異議申立て、長期間の開示延長決定等の問題は、規制に

     よる解決でなく、推進委員会の目的にある、県民の主体的な政策提言型の県政運営を図るため、行政と県民が一体で努力すべきで

     ある。

      推進委員会は、両当事者が調整する場を設けること。両当事者

     は誠意を持って解決に努力すべきこと。

      当会は両当事者の努力に対し、これに最大限の協力を惜しまない。 

 

第2.改正の内容

 1.特例条例の廃止及びこれに伴う千葉県情報公開条例の関係規定の改正

  (1)特例条例の廃止

          骨子案で、特例条例によって本県の開示度が高まったと述べているが、この特例条例制定の経緯を知るものとして見過ごしできない。

          すなわち、県立小金高校長の出張記録を非公開としたことで千葉地裁で敗訴した直後にあわててこの条例を制定した。裁判所の判断に素直に従っていれば、この条例を制定しないで済んだのである。しかも制度の運用に関して答申や建議の権能を有する審査会には当時何ら諮っていないのである。

          以後、特例条例の存在そのものが千葉県の情報公開制度の問題点を天下に広めることとなった。

(2)条例再8条第3号は不変とすることについて

         官から民への行政サービスの流れの中で、第3号(ロ)は行政側により恣意的に運用されるおそれがあるので、改正に当たり全文削除すべきである。

    ア 公務員等の氏名の公開は当然である。

        イ 食料費の支出を伴う懇談会等の出席者の氏名は、現在は等級の高い職員順に5名しか公開されていない。出席者全てを公開すべきである。

 

 2.審議会等の会議の公開

   原則公開は当然であるが、傍聴人に発言の機会を保証すべきであり、会議の正確な記録の作成し保存することを求める。また、その記録は速やかに公開すべきである。重要な審議会等ではテープ起こしをした議事録(会議録)の作成を条例上明記してもらいたい。

 

 3.千葉県情報公開推進会議の設置及び千葉県情報公開審査会の担任事務の見直し

  (1)千葉県行政組織条例の別表第2及び第3の改正

    ア 千葉県情報公開推進会議について

(ア)担任事務

                情報公開制度の運営のあり方の改善に関する事項を諮問を待つまでもなく自主的に調査審議できることにしたことを評価する。

        (イ) 委員の構成

        学識経験者だけの県情報公開審査会に対して、各種団体の代表や公募による県民等が入ることは、これからの県の各種審議会等の見本とすべきである。

                15人の構成員では多すぎる気もするが、推進委員会が提案していた「情報公開オンブズマン(仮称)」の権能を持つのであるから適当であろう。

      イ 千葉県情報公開審査会

     情報公開制度に関して不服申立ての調査審議に基づく意見を知事に具申するだけでなく、実施機関に対して直接指導助言することとする。

    (2)条例に推進会議の権能等を規定

      ア 権能

    (ア) 受け付ける苦情の範囲には異議がない。審査会との棲み分けはこのとおりでよい。

        (イ) 調査審議の際に当事者から情報提供を求めることができるのは当然であるが、提示された行政文書を県民に原則不開示とすることは賛成できない。異議申立の審議の際のインカメラとは違い、内容により判断するべきである。

      イ 守秘義務

     この義務を負うのは当然である。

 

  4.開示請求対象文書の拡大及び不開示条項に係る適用条令の区別の撤廃

   賛成する。

 

 5.施行

   空白期間を設けないで新条例施行に合わせて推進会議を設置すべきと考える。

 

第2部 「情報公開の推進に向けた制度改善について(答申)」について

 第2 諮問事項に関する意見(答申2ページ)

  1 情報公開推進委員会の提言に係る事項

  (1)知る権利を目的規定に明記することについて 

          「知る権利」は民主主義社会に内在する基本的人権の一つとして導き出されたものであり、徹底した情報公開を推進するのであるから、当然条例の中心となる第1条に明記すべきである。

 

    (2)個人情報の規定を改めることについて

     時代の流れはプライバシー保護型になっているので、プライバシー保護型を明記すべきである

    (3)特例条例を廃止し、本体条例と一体化することについて

          (第1部で述べた)

 

    (4)存否応答拒否処分の適用範囲を限定することについて

      存否応答拒否処分は不開示処分とは実質的に異なることは明白であり、情報公開推進委員会で議論された範囲に限定すべきである。

 

 

    (5)審議会等の会議の原則公開を条例に規定することについて

          (第1部で述べた)

 

    (6)県民の意見を反映する機関としての情報公開推進会議(仮称)の設置及びその権能について

          (第1部で述べた)

 

    (7)調停機能を有する第三者機関としての情報公開オンブズマン(仮称)の設置及びその権能等について

    a トラブル防止及び情報公開の一層の推進を図るための権能を持たせることが必要である。

    b 苦情処理に当たって柔軟な対応ができるように、適切な組織(部会)を作るべきである。

 

    (8)大量請求を理由とする拒否処分について

          県民参加による、情報公開制度のあり方を審議検討している中で、過去に積滞した大量請求、異議申し立ては解消しつつあり、将に県民参加による県政の実が挙がった例である。

更に積極的に情報提供を進め、新たな情報公開制度の機能を発揮させることによって今後、同種の問題は速やかに解消させうると考える。したがって、実施機関による恣意的な裁量にゆだねられる恐れのあるこの条文は設けない。

     国、および全国の自治体にこのような条文は存在せず、情報公開を積極的に推進する千葉県とは相容れない条文である。

 

    (9)手数料制による大量請求の抑止について

          前項と同様に、今後とも手数料を徴収する必要はなく、手数料を徴収する自治体は東京都を除いてはない。

 

 2 その他制度改善に資する事項

    (1)文書管理について

     文書管理がずさんすぎるので、答申の指摘を厳しく受け止めてもらいたい。なお、保存期間については県民にとって重要な文書が軽易な文書として処理されている実態が再三見受けられる。よって、文書管理について、第三者機関による見直しが必要である。

 

  (2)情報化の推進について

     FAXやオンラインでも開示請求ができるように改善すること。

 

    (3)情報提供について

     開示請求により開示されたものは、以後開示請求によることなく閲覧可能な状態にすること。

 

  (4)異議申立案件の処理について

     異議申立を受けた実施機関は徒に審査会に諮問するのではなく、決定の見直しを速やか行うことを求めていることには賛成である。

          情報公開事務手続きの進捗状況がインターネットなどで公開されるべきであり、事務処理の現状がトレイスできるよう管理体制を整備すべきである。

 

(5)条例による請求対象文書の拡大等について

         (第1部で述べた)

 

  (6)職員の意識について

     答申の言う「県民への説明責任を正しく認識し、情報公開事務を的確に執行していく」ためには公僕としての立場を自覚させまた任務を徹底的に身につけさせる研修が必要である。

 

第3部 その他条例改正に追加する事項について

 1.開示決定等の期限は、開示請求日から30日以内を14日以内とすること。

 2.会議録作成のための録音テープ等も公開の対象とすること。

 3.公開対象文書を、県議会、行政委員会、審議会等に職員が持ち込んだ文書も対象とすること。

 4.会議を記録した文書に会議録及び議事録があり、紛らわしいので用語の統一と様式の統一をすること。

 5.行政委員会や審議会等重要な会議はテープ起こしによる発言を逐一記録した議事録を作成すること。

  6.知事が所管する出資法人の情報公開制度を見直し、県の情報公開制度と同様とすること。

  7.開示請求に係る情報を作成及び取得することが可能であり、またそのことが県の利益になると認められたものについては、新たに文書等を作成又は取得して情報を提供すべきである。